
今日も明日も 2nd season
第1章 見えない鎖 Ⅸ
「天気だから、布団干そうか!」
このままだとまた暴走しかねない俺は、気持ちを切り替えようとわざと明るい声を出した
極力、外には顔も出すなと言われてたけど
かずくんをベランダに出さなければ問題はないだろうと考えていた
俺の顔が知られてる訳じゃない
一緒にいなければいくらこの辺りをお兄さんがうろついてると言っても、分かる事はない筈
かずくんに、キッチンで待つように伝えてから
寝室から布団を持ち出した
暖かい日差しと乾いた空気は、絶好の布団干し日和だ
ベランダに広げて、布団挟みで止めて
何気なく下を見た時
偶然、道路に立っていた男が顔を上げた
ただそれだけなのに、何故か嫌な予感が背筋を伝う
見たことのない顔なのに、目が離せない
見上げた男が、一瞬驚いたような表情をする
そして
“みーつけた“
声は聞こえないけれど、確かに唇がそう動いた
『かなりヤバイ。早急に何とかするから絶対に外に出るな』
先輩からのメールが、今はっきりと意味をなした
……だけど、もう手遅れかもしれない
下にいる男と視線を合わせたまま
漠然とそんな事を考えていた
to be continue…
