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原稿用紙でラブレター

第2章 年上彼氏の攻略法






「…ねぇほんとに大丈夫?」


首筋にあった手が移ってするりと頬を包み込み、くいっと上向かされじっと見つめられる。



やばいっ…



どくんと体の芯が疼いて一気に全身に熱が駆け巡るようで。


こんな状況が続けば本当に熱が出てしまいそう。


俺の頬を包む相葉くんの両手に、震えながら自分の手を重ねてやっとの思いで絞り出した。


「だ…だいじょぶ、」

「え、ほんと?だって顔真っ赤だよ?
ほら、汗もかいてるし」


そう言って右手で前髪を梳いておでこに滲む汗をなぞられる。


そんな仕草にまたぎゅっと目を瞑ると、一呼吸置いて相葉くんが小さく呟いた。


「…にのちゃん、何かヘン。
どうしたの?なんかあった?
…俺に隠し事してない?」

「…っ、」


そっと目を開けた瞬間探るような瞳に射抜かれて、思わずまた目を伏せる。


だけどまたくいっと顔を上げられて、大きな手でがっちり頬を包まれているせいか全く顔を動かせない。


「…言ったよね?何でも言い合おうって。
じゃなきゃ伝わんないって。
ねぇ、俺…なんかした?
もう俺さ、にのちゃんのこと泣かせたくないんだよ」


眉根を寄せ静かに語りかける瞳に捉われて、ごくっと息を飲み込んで押し黙ってしまった。



確かに…何でも言い合おうって約束した。


お互い素直に、正直に、伝え合おうって。


でも…


とてもじゃないけど…


こんなこと言えないっ…!



部屋に流れる沈黙と見据えられる眼差しに圧され、高鳴る鼓動と火照りで息が詰まりそう。


「…俺にも言えないことなの?」


ぽつり発したその瞳が翳って物憂げな表情になり、慌ててまた相葉くんの手に両手を重ねて口を開いた。


「っ、違うから…!あの、ごめん…
今は、言えない…」


重ねた手をぎゅっと握りながらそう言うと、相葉くんは増々眉根を寄せて困ったようにはぁと息を吐いた。


そして包まれた頬を急にぐっと寄せられ、口がとんがった状態になって。


「ぅ…」

「…言えるようになるまで待つからね」


念を押すようにじっと覗き込まれれば、素直にこくんと頷くことしかできなかった。



言えるように…


なるのかな、これ…。

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