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リビングにもどると、お菓子に手をつけている奈央がいて普段と変わらない感じだった。
奈央「もうそろそろ帰ろうかな。」
そう立ちあがった、奈央の見送りをしようと僕も立ちあがって玄関で靴を履く。
エントランスまで降りて、先を歩く奈央がこっちを見る気配がしたので、手を振ろうとあげた。
すると、奈央も手をあげ「じゃあ、」そう言おうとした瞬間に振っていた僕の手は奈央の手に掴まれていて。
掴まれた僕の手は、いつの間にか奈央と僕の体に挟まって奈央の心臓の音を聴いている。
悠「…奈央？」
今、胸の中にいるとわかっていても友達の手をすぐには振りはらえなかった。
奈「隙が多いよ、悠。そんなんだと、すぐ奪っちゃうけど…いいのかな。」
う、奪う？
思考停止のサイレンが僕の頭の中で鳴っている。
するりと手が離されて、「じゃあ、また。」と声をかけられた。
多分ふわっとした返事を返した僕は自分の足で戻ったのだろう。
部屋の中にいた。