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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第26章 運命は・・・先着順?

「チッ……急げ!」

「早く乗せて車出せ!」

「この女っ…~静かに…っ」


焦りはじめた連中の
その手が更に荒々しくなる




『誰かっ…助けてっ…!誰っ…う~~っ!!』




荒く強行手段に出る連中が
デカイ手をマリアの小さい顔に振り下ろし
叫び続けるその高い声を遮った




『う~~っ…!!ん~~…っ!!うー!』



「早く、連れていけっ」



口を塞がれたマリアが
更にバタバタともがいて抵抗した


「暴れるなっ…この…っ」








『やめろっ…~…マリアに触んな!』










『うー!…んん…う~~っ!!』





「おいっ…ヤバイんじゃねぇか?!
女の方はそんなに手荒にしたら」




「フン…構うか、直々に
〃生きたまま〃ならイイって
言われてるんだからな・・・フフッ」







ゾクっ・・・




耳に入る言葉に身震いした


なんでもいい…「生け捕り」にしろ?って?


おいおい…どんなキチガイの言葉だそれ?








『…いい加減にしやがれよっ、てめぇらっ!』






俺は渾身の力を振り絞って
連中に掴みかかった













『お前らに…そいつの自由を…っ

奪う権利なんかねぇ・・・っ』












シーン…





一瞬の沈黙が流れた





















『お前にも・・・ないんじゃないのか?』













『・・・っ?!』










一瞬で…背筋・・・全身の凍るような声



嫌でもそう認識する声が


俺の背中に突き刺さった















『コソドロが・・・

お前にも・・・人の妻を

コソコソと連れ回して良い権利なんか…

お前にこそ・・・ないんじゃないのか?』












後から突っ込んで来た車の後部座席の窓から



その姿を現す・・・首謀者



この連中の・・・雇い主



依頼人

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