テキストサイズ

かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第20章 二人の罪・・・そして罰

『関係ないなら、どいてくれ

ほら…まりあ、帰るぞ

〃ご近所〃に迷惑だろう?…』




『・・・っ』




男が俺の手を振りほどき
マリアの手を乱暴に引いて
階段を降りようとする





ガシッ・・・




心臓は飛び出そうに…止まりそうに
なってるが

俺の体は前に出て

再び男の腕を掴んで進路を塞ぐ





『いや・・・ちょっと、待って下さい』



『チッ……おい、あんた』

『~~・・・~~・・・』



俺が動けば動く程
マリアは動揺する

混乱と……そして〃最悪〃を招く

わかっていた





旦那に手を捕まれて
俺から目を反らしながら

必死に目のやり場を探して
まばたきもせずに

隠しきれない動揺と焦りに
キョロキョロとしている





俺は……飛び出していって
どうするつもりだったんだろうな…



この男を止めて
一体何を言って、どうする気なんだよな







『や……あの、ですから少し

落ち着いてから・・・その』








『ふふっ……だから、お前は』



『~~~~~~』




『・・・』





俺の掴んだ男の腕に
力が入った





『お前は……誰なんだ…って

聞いてるんだ……よ…っ』







イラついた男が
力強く俺の腕を振りはらった






バサッ・・・っ






『・・・・・・あっ…』







小さく……でも確かに

その声をあげたのは・・・マリア







男が振りはらった腕が
俺の帽子を弾きとばした







〃・・・ヤベ…っ〃











ゴツン・・・っ









俺のキャップが

地面に落ちる無機質な音だけが

一瞬、鳴り響いた。







しまった・・・

ストーリーメニュー

TOPTOPへ