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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束

知り合って間もない

身元さえハッキリしない家出娘を前に

俺は…何故

落涙していたんだろう






『ユウトのせいじゃ…ないじゃん』







『俺のせいなんだ・・・っ』







俺との事が…発覚した時点で

アイツは・・・


マリアは…自分側から

離婚申請をするのは事実上できなくなった






そればかりか…俺は






『最後…もう…側にもいられない
そんな時にも俺は…

なんとかアイツを自由に…っ
自由にしたいなんて

〃ああいう男〃と知りながら
無謀なことをして

アイツに…取り返しのつかない
大怪我・・・っ…~~っ』







『ぇ……』








『自由になるハズだったアイツから

自分の力で……自分の足で

行きたい所に行く

そんな…当たり前の自由まで奪った

・・・

アイツの人生を…本当の意味で

メチャクチャにしたのは俺なんだよっ!!』









『・・・』








『俺さえ・・・いなければアイツは…っ』










『ちがうっ・・・!!!』










『っ…う…っ・・・……』




顔を隠して背けた俺の背中に

エリカの大きな声が刺さった…






『そんなのっ!絶対にちがうよっ!!

ユウトっ…字ぃ読めないのかよっ!』





『っ…グスっ・・・~~っ』




エリカは手紙を開けて

目を反らしたままの俺に見せてきた







『・・・書いて…あるじゃんか…っ

こんなに・・・こんなにっ』






『~~~~っ…』






『ユウトに逢えて良かった…って

ユウトのこと…大好きで大好きでっ…

愛してる・・・から…っ

だから…どうしてもユウトに

幸せになってほしいって』





『っ…ぅ…っ~~…』







『今のユウトは…っ…

ユウトの生き方は、この人の願う事と…

正反対じゃんかっ・・・!』

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