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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束

俺が手を伸ばしただけで

震えあがって座り込み

エリカは頭を抱えて泣き出した







『エリカ・・・』



『ごめんなさい・・・っ

もうしない・・・もうしないからぁっ』





やっと少し…落ち着いて来たのに

何をやってんだ、俺は…




『エリカ・・・ごめんな!』



『ごめんなさい・・・っ』






『エリカ・・・ちがう』



『~~~~っ!!!』






頭や顔を庇うように
うずくまるエリカを前に

俺は、どうしようもなく
焦っていた





男に裏切られて…傷つけられて
体も心も、ボロボロのエリカに

よりによって…一番つらい
恐い事を思わせるような事を・・・





『エリカっ・・・ごめんな!!』







『やだっ・・・やっ』





俺はしゃがんで
思い切りエリカを抱きしめた




エリカは恐がって
全力でそれを拒む






『エリカ・・・叩いたりしない!
絶対にエリカをぶったりしないから』




『うっ…っ…うっ…~~~~』










『怒鳴ったりして…ごめんなエリカ』







つい・・・カッとなって

エリカを怒鳴り付けてしまった事を

メチャクチャに悔やんだ





ヤンキー節どころか

ガタガタに震えて怯えるエリカ





俺は…自分で恐がらせておいて

それを自分で必死になだめる



なんとも愚かな事をして

しばらく…エリカの背中をさすっていた

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