誰も見ないで
第3章 好き
そんな素敵な提案をしたのは正樹
確かに俺たちのチームはまだ試合が残ってるし、俺が抜けたら誰かに代わりに入って貰わないといけなくなる
なんて
本当は紺野君と一緒に行きたいってだけなんだけど
「そうだね。そうして貰おうかな」
俺が正樹の意見に同意すると、周りもなんとなくその意見に流されてくれる
「それじゃあ渡辺と紺野は保健室行ってこい」
先生もそんな風に言ってくれて、俺は紺野君に手を借りながら立ち上がった
授業中の誰もいない廊下を歩く
授業サボってるみたいで、少し罪悪感というか
ドキドキする
しかも隣にいるのはサボりなんて縁のなさそうな紺野君だし
指の痛みを忘れて呑気にそんなことを考えていると
「指、大丈夫ですか……?」
と聞かれた
見れば紺野君はさっきよりも不安そうな顔をしている
俺があんまり喋らなかったから不安にさせたかな
「全然痛くないし、大丈夫だよ」
微笑みながらそう伝えると、紺野君は漸く安心したような顔になった
「庇ってくれて、ありがとうございました」
「怪我もしないでボール取れたら良かったのに、ごめんね。余計な心配させて」
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