誰も見ないで
第3章 好き
そんな中で俺はひたすら自分のにやけた顔を見られないように苦戦しながら、紺野君とのメールのやりとりを続けた
先生がやってきて朝のHRが始まって
1時間目、2時間目と過ごして
更にお腹の虫と戦いながら3・4時間目を過ごして
それで漸くお昼休み
ほんと、午前中の授業って無駄に長いよね
滑舌の悪い数学の先生なんて、言ってることは全部黒魔術の呪文にしか聞こえないし
いずれサタンとか召喚するんだ
ぶつぶつ考えながら、心待ちにしていた紺野君とのお昼休み
またクラス中のひそひそ声に包まれながら教室を出て屋上へ
「渡辺君!」
「紺野君、お待たせ」
恒例になったこのやり取りだけど、紺野君のこと好きって思ってからは嬉しさ倍増
「今準備しますね」
そしてせっせとお弁当を広げてくれる紺野君の後頭部を眺めながら
本当に俺、なんで紺野君に告白なんてされたのかな
俺のどこを好きになったんだろう
なんて考える
けど、告白されたその時ならまだしも今更そんなこと聞けないし
困った
「渡辺君? 食べましょう」
「あ、うん。食べよう」
いただきます、と手を合わせて箸を手に取る
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