誰も見ないで
第17章 決断
母さんの言った
瑞稀君とずっと一緒にいるために必要な『誰にも文句を言わせない立場』を得るために俺がどんな進路をとるべきか
考えれば考えるほど
海外への進学の方が近道な気がした
影響力のある強い立場を得るためには
それに見合った大きなことをやらなきゃいけないし
それをするには大きな会社に入るか
大きな会社を作っていくか
どちらにしても日本で進学するなら、競争率は高いように思う
他の人に引けを取らない経験や知識が必要で
でも、瑞稀君と離れなきゃいけないことは
何度考えてもつらくて
俺は人生で初めて胃が痛むほど悩まされた
そしてついに学校で進路希望調査票が配られた
その紙を見て静かにため息をつく
瑞稀君のことが大切で
離れたくない
だけどだからこそ、選ばなきゃいけないことがあるんだ
頑張らなきゃいけない
人よりもずっと
そして俺は次の休みの日に母さんに電話をかけた
数回のコール音
そして
『もしもし、湊斗?』
電話口から母さんの声が聞こえた
「母さん俺、あれからすごい考えて悩んで……それで……ちゃんと自分で決めたから、聞いて欲しいんだ」
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