誰も見ないで
第2章 嫉妬
嘘だ
絶対ふざけてた
俺が真面目に相談してるのに、聞いてくれないならいい
謝りながら突然早歩きになった俺の横に小走りで正樹が並ぶと
「だってそれって、ヤキモチだろ」
って言われた
「……ヤキモチ?」
本当は怒ったから無視してやろうって思ってたんだけど、あまりに断定的に正樹がそう言うものだからつい反応してしまった
「ヤキモチってなに?」
そう聞き返すと、正樹の表情が固まる
「……は? 本気で言ってる、それ」
「本気、だけど……」
このタイミングで嘘つく意味ってあるの
「おもちを? 焼いたやつ?」
焼き餅?
すると、正樹に頭をぺしっと叩かれる
「痛っ」
「定番のボケをするな」
「定番とか言われたって、わかんないものはわかんないし」
そこでまた大きなため息を吐く正樹
「いいか? ヤキモチってのは、嫉妬のこと」
「シット……」
「好きな人が誰かと仲良くしてたりするのってなんかモヤモヤするだろ? それのこと」
「好きな人限定?」
「好きな人限定。友達は不可」
「友達は不可……」
正樹の言ったことを英語の授業でするみたいに繰り返して頭に一旦入れてみる
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