無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「うん。行ってらっしゃい」


少しだけ恥ずかしそうにしながら席を立った湊斗君をちょっと目で追いながら、資料の開いていた最後のページをみる


あ、ここも僕がさっき見てたところだ


開いていたページの大学は、さっき僕がチェックしてたところの１つで

やっぱり同じ分野なのかな、と期待した


期待したり不安になったり忙しいな、僕


ふぅ、とため息をついてリフレッシュのためにも一旦背もたれに寄りかかっていると

さっきとは別の所から女の子達の声が聞こえた

湊斗君が来た時にちょっとざわついてた方だ


「ねぇあれって本当なのかな」
「えー流石に嘘じゃない？」
「でも本人が話してるの聞いたって言ってたよ」
「ただの噂でしょ？ーー」


そんな話を聞きながら
僕はその次の言葉に、耳を疑った


「ーー渡辺君が海外の大学に行くなんて」


人が本当に驚いた時は、頭の中が真っ白になるんだって知った

頭の中どころか、いっそ目の前も真っ白だった


海外の、大学？


渡辺君って、一体誰のこと


まさか湊斗君のことじゃ
ないよね


「噂だけどさぁ、でもあり得そうじゃない？海外でモデルとしてデビューするんでしょ？」
「なにそれ。私はもともと日本にいるのは高校までの話だったってやつしか知らない」