誰も見ないで
第14章 文化祭
「……なんだ」
なら良かったんだ
全部無視して
木下さんと
小川さん
2人の思いとか
考えなくて良かったんだ
頭は冷え切ってるけど、心はほっとして緊張が解けた
瑞稀君に会ったらきっと、嬉しくてぎゅーぎゅー抱き締めちゃうんだろうな
そんなことを思いながらぼーっとしていると
何かをバラそうと必死になっていた木下さんとそれを止めようとする小川さんの間で何かが起きて
「紺野みたいな地味なやつが好きになった女にフラれたらどんな反応すんのか楽しみだったのに! お前のせいで台無しだよ!!!!」
事の発端がなんだったのかをきちんと白状してくれた
瑞稀君への嫌がらせだったのか
あぁ、だから一緒にいるところを見かける俺も遠ざけたかったってこと?
どこから得たのか、俺の中にもまるで昼ドラみたいは知識が備わってて
ひとりぼっちのところに優しくされればころっと落ちるかもって?
なんて、よくわかんない想像がスルスル出てきた
大抵当たってるんだろうけど
でも良かった
理由とかもある程度わかったし
これで瑞稀君のところに戻れるんだ
俺はまだ言い合ってる2人ににっこり微笑む
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