誰も見ないで
第14章 文化祭
「荷物ありがとう」
「先生も持って行ってやれって言ってたよ」
あの先生、やっぱりいい人だなぁ
瑞稀君から荷物を受け取って踵を返して昇降口へと向かった
「それにしてもびっくりしたね。まさか突然人が倒れたりすると思わなかった」
俺が歩きながらあの時のことを思い出す
人が目の前でぐらっと揺れるの、結構怖かった
すると瑞稀君は苦笑いを浮かべて同意しながらも
「でもあれは仕方ないよ」
とその時のことを思い出すように遠くに目を向ける
「仕方ない?」
「だって、かっこよかった」
今の俺へと視線を移して瑞稀君が少し頬を赤らめた
「すごく似合ってたし、あんな笑顔向けられたら……」
そ、そんな……?
「でも、失神するなんてそんな、漫画みたいなことってありえるの……?」
「教室にいた女の子はみんな立ち眩みしてたよ、きっと」
そんなわけ…………ない、よね
瑞稀君の嘘か本当かわからないけど、とにかく恐ろしい話を聞きながら家に帰る
でもそれってつまり、俺がちゃんと執事出来てたってことだよね
なら練習はもういいかな
それにしてもあの子、大丈夫かな
どこかに当たったりはしてないと思うんだけど
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