誰も見ないで
第10章 同棲
あまりのかわいさにその場で抱き締めたい気持ちをぐっと堪えて
「おはよう」
と挨拶をすると、目の前の瑞稀君の顔も赤く染まった
「どうしたの?」
「ちょっと……今日1回目が強烈で……」
心配してかけた言葉に返ってきたのはよくわからない返事
「?」
「と、とりあえず行こう」
なんて聞き返したらいいかな、なんて考えてたら瑞稀君が歩き出してしまったから俺も小走りで横に並んだ
人が少しだけ引いた駅の中を歩いて改札を通り、丁度ホームに入ってきた電車に乗り込む
クーラーの効いた車内が涼しくて気持ちいい
でも
「流石にちょっと混んでるね」
席が空いてないどころか椅子の前は人がぎっしり立っていて、俺たちは仕方なくドアの近くに立った
「これじゃ今から行くところも混んでるかな」
俺が嫌だなって呟くと、瑞稀君は少し考えてから
「この人達は新しく出来た駅ビルに行くんじゃないかな?」
と言った
確かに近くの大きな駅に新しいビルが建って、連日人がごった返しているって話題だったなぁ
「そっか。じゃああと何駅かで降りるね」
俺たちが今から行くところは空いてるといいなぁ
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