
誰も見ないで
第7章 罪と罰と罪と
そして明日から長期休暇に入るから、と終業式と宿題を渡されるだけで終わった日
いつもと同じように正樹と帰っていた俺の携帯が鳴った
先に気がついてくれたのは正樹
「湊斗、携帯鳴ってない?」
「あれ? あ、ほんとだ」
画面には「父さん」の文字
父さんから?
珍しい
「ごめん、父さんからだ。電話出るね」
「ん、いいよ」
「ありがと」
正樹に一言断って、少しだけ距離を開けてから通話ボタンを押す
「はい、もしもし」
『湊斗か? 父さんだ』
「うん」
そんなわかってるようなこと確認しなくても、なんて笑える状況じゃないのは父さんの声でわかった
『学校は終わってるよな?』
「うん」
『それなら、今から言うところにすぐに来てくれ』
そして父さんの口から出たのは
「警察署……?」
行ったこともない
というか、これからも行くことはないと思っていた場所
「なん、で……そんなところに……」
俺の声が聞こえたのか正樹が心配そうに俺を見る
大丈夫?って小さい声で聞かれるほど、俺の顔色か表情が酷いのかな
けど、理由がわかるより早く次の父さんの言葉が紡がれて
『紺野瑞稀くんを、警察署で保護した』
俺はその場で倒れるかと思った
