誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
「ははっ……餌付けみてぇだな」
そう言いながら笑う相原大和の顔は無邪気な子供のようで、少し前まで持っていた怖いヤンキーのイメージはなくなった
とは言っても食べ終わると同時ぐらいになるとパンを押し込まれる「餌付け」の状態は不本意極まりない
俺はまるまる1つパンを食べ終わったところで文句を言おうと口を開いた
「もういりま……ーーーー」
せん、と言うその途中
やたらと近かった相原大和の顔がもっと近づいてきてて
驚いた
次の瞬間には
ちゅ、という小さなリップ音と共に俺の唇の端に柔らかい感触
「…………」
「……あ、やべ」
今気がついた、みたいな顔をした相原大和
何にだ
キスしたことにか
それとも、俺が男だったってことにか
動きはフリーズしたままだったけど、時間が経てば経つほど怒りが湧き上がってきて
「……っ」
「痛っ」
俺は相原大和を押しのけて座っていた机から下りた
そして出口に向かって歩く
「おい……?」
すると相原大和に途中で声を掛けられ、振り返ると
「最っっっっ底!!!!」
と声を張り上げながら伝えて俺は美術準備室を後にした
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