誰も見ないで
第5章 好きになんて(サイドストーリー)
次の日
湊斗から『今日は行けそう』と連絡が来たから1日ぶりに湊斗と会った
「おはよー正樹。やっと治ったよ」
昨日の理不尽な怒りをぶつける気なんて俺にはさらさらなかったんだけど、朝の挨拶をしながら近づいて来た湊斗の緩みきった顔にイラっとして
「痛っ!?」
軽く
ほんとに軽く
俺は湊斗の腹にパンチを見舞った
「病み上がりなのに!?」
「俺だっ……」
俺だって病み上がりだ
とかつい口を滑らせそうになって慌てて口を閉じる
「なに?」
「なんでもないよ」
「えー?」と言いながら歩き出した俺に小走りで追いついた湊斗が不安そうに俺を見る
可愛い女の子ならまだしも
俺よりデカい男に見られてもなんとも思わないな
けど、昨日の相原大和もおなじぐらいの身長だった……な……って……
俺なに考えてんだ
「正樹?」
「あー……どうだったの。昨日、紺野君と仲直り出来た?」
「え、なんで正樹が知ってるの」
「誰のおかげで紺野君と仲直り出来たと思ってるの。俺が紺野君に湊斗の家の住所教えてあげたんだよ」
「そうなの!? ありがとう!! 仲直り出来たよ!!!」
はしゃぐ湊斗に、俺は怒りも削がれて息を吐く
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