誰も見ないで
第4章 真実と真実
ここ僕の家なんだけど
そう思いながら大和くんの向かい側に座る
「で? 何があったんだ?」
「……うん」
僕は昨日の学校のことから全てを大和くんに話した
大和くんに知ってもらいたいって気持ちももちろんあったんだけど、自分で話すことで整理にも愚痴として発散することも出来た
けどその代わりにモヤモヤが溜まったのは大和くんの方だったみたいで、僕が話し終わっても
「…………」
暫く黙ったまま眉を顰めて机を見ている
「や、大和くん?」
恐る恐る声をかけると、大和くんはスッと立ち上がった
そして
「あいつ、殺してくる」
と言って僕の家を出て行こうとする
「!? ま、待って!!!」
僕は必死で大和くんの腰に抱きついて止める
「離せ瑞稀」
「だめだよ!!! 殺すなんて物騒なこと言う人離せるわけないでしょ!!!」
「じゃあ殴ってくる。それでいいんだろ」
いいわけない!!!
渡辺君を殴るなんて!!!
頭の中で大和くんが渡辺君を殴っているところを想像する
だめ
だめ
そんなの
「! 瑞稀?」
すると大和くんが驚いたように僕の顔を覗き込んだ
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