ガラスの靴がはけなくても
第1章 眠れぬ夜
ナビで私の家を目的地に設定すると、家とは全く違う方向にいた。
奢ってもらったハンバーガーを頬張りながら、ラジオに耳を傾ける。
冬はなんでこうも切ない歌ばかりを流すんだろう。
だけど、唯一救いなのはクリスマスが過ぎていたことだ。
これで、クリスマスソングなんて流された日には気分もドン底だ。
いや。今でもドン底なのに変わりはないんだけどね。
「はぁ…」
食欲も一気になくなる。
「ため息つくな。俺の幸せまで吸い取られそう。そしてちゃんと飯は食え」
「はい…。すみません」
優しいんだか厳しいんだか。
もうヤケになって、部長のポテトまで平らげたら怒られた。
だけど、そんなふざけたやりとりに本当に救われている。
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