
☆時計じかけのアンブレラ☆
第14章 虹
仕事が終わり、迎えに来てくれた潤くんの車に2人で乗り込む。
え、ここって……。
首都高を駆け抜けて辿り着いたのは、付き合って初めて夜景を見に訪れた場所……。
「かず、コレ被って」
「ふふっ。あのときと一緒だね」
俺は言われたとおり帽子を被る。
外に出ると、空気は冷え冷えとしていて寒さが身に沁みた。
2人並んで散歩道を歩く。
「寒いね」
「夜は冷えるね」
両手を擦り合わせた俺に、潤くんが片手を伸ばす。
俺の手をそっと取って、一緒に潤くんのコートのポケットの中に入れた。
景色が一望できる場所に立ち止まって、潤くんと向かい合わせになった。
「かず。今日ここに来たのはね、かずに結婚を申し込むため…です」
