TIME is MONEY
第3章 scene Ⅲ
「俺を帰さないつもりなら、教えろ」
挑むような瞳を雅紀に向けた
雅紀もいつになく、真剣な眼差しを返してくる
多分、きちんと話すのはこれが初めてだ
流されるままにここに暮らして、大抵は受け流されてまともに話にならなかったし
前には感情的になって襲われる羽目にもなった
「…っ」
思わずあの出来事が脳裏にいかんで、赤くなってしまう
いかんいかん!
落ち着け俺
「…どうしたの」
真面目に話すはずがいきなり挙動不審になった俺を
雅紀が訝しげに見ていて
「なんでもない」
ごほん、と咳をしてごまかして
落ち着こうと深呼吸をひとつしてから
「まず1つめ、…アパートの解約って…」
「本当。翔ちゃんがこないだ手続きした
…書類は翔ちゃんが持ってる」
あっさり言うなよ
それって凄くおかしい事なんだぞ
問い詰めたいけど、まずは一つ一つ答えを聞くのが先決だ
でないとまた話にならなくなる
「そうか、分かった…。…その翔が言ってた、ヤクザ絡みが解決してるってのは?」
「うん…翔ちゃんと大ちゃんが直接話に行って
ライバル社の有利な情報を提供するって交渉を飲んでくれた」
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