TIME is MONEY
第3章 scene Ⅲ
今回、依頼主の新郎とは直接の会話をしていないらしい
電話でのコンタクトを試みたけど
忙しいからとか、なかなか電話には出られないからと断られ
そのくせメールの返信は早くて
…さすがに雅紀も不信感を覚えて、依頼を断ろうとしたら
“先払いするから“ と本当に見積りにプラスαした現金書留が、仕事用の住所に速達で送られてきてしまったらしい
何かもう、それだけでも充分おかしいと思う
だけどお金が入ってしまった以上、相手の住所も何も知らないから放置も出来なかったようで
まあ、会場自体は言われた通り披露宴の案内はあるし、名前も合ってはいるらしいから
とりあえずこの “披露宴“ に関しては嘘ではないようだ
「俺から離れないでね」
雅紀がそう言って、ちらりと俺を見る
「離れねーよ」
悪いけど、こんな状況じゃ1人にはなりたくねぇし
何かあったら雅紀を盾にするつもりだ
決して怖い訳じゃないぞ
…面倒な事が嫌いなだけなんだ
そんな俺の内心を知ってか知らずか、雅紀が小さく笑った
「…そろそろ、入るよ」
腕時計は、開始時間の5分前を指していた
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