TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
「どういう事だよ」
選択肢がない、って事はつまり
俺はここから出られない?
ちょっと待て
何人の人生勝手に決めてくれちゃってんだよ
「納得出来ない顔だね」
雅紀が頬杖をついて笑っている
「当たり前だろ」
「俺さ、欲しいものはどんな事してでも手に入れたいの」
柔らかい口調なのに、何故か背筋がゾクッとする
雅紀は固まる俺にお構い無しに、ポケットに手を入れると何やら封筒を取りだしてテーブルに置いた
「雅紀…お前…」
翔が、目を見開いている
ああ、なんか嫌な予感しかしないんだけど
翔が驚く程の封筒の中身ってなんだよ
「やっと話し合いが解決してね、今朝漸く書類が手に入った」
話し合い?
解決?
「かず、中のやつ見てみ?」
今俺がどういう顔をしてるのかすら分からない
雅紀に言われるままに薄いグリーンの封筒から、白い紙を取りだしてそれを広げた
「…養子、縁…組?」
見慣れない1枚の紙
だけど字を読めばそれが何かなんてのはすぐに分かる
「かずの両親、悪いけどクズだね」
そう言い放った雅紀は、何故か酷く傷付いたような顔をしていた
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