TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
雅紀の隣に翔、対面に俺
話そう、と言ったはいいけど、誰も口を開こうとしない
お互いに誰かが口火を切るのを探ってる感じだ
「黙ってたってどうしようもないだろ」
…こういう時、俺みたいな奴って損するタイプなんだと思う
いつまでも待ってられなくて、結局最初に口を出すんだから
でもその前に
空になったカップを持って立ち上がる
「飲む?」
こんな場面でも聞いてやる俺って優しいよな
…緊張した雰囲気が嫌だってのもあるけど
まだ入れてない翔のカップを出しながら雅紀に訊ねれば
「あ、さんきゅ」ってにこっと笑う
背を向けて3つのカップにコーヒーを注ぎながら、俺はひとつ、溜め息を吐いた
テーブルに戻ったら、もう逃げない
きちんと話すし、話して貰おう
全て話して、それが終わったら
その後は……
またアパートから探さなきゃいけないな
勝手に処分されちゃった家財道具もいちから揃えるのか
考えただけで面倒臭いじゃないか
そもそも翔が勝手に……
「かず、何ぶつぶつ言ってんの?」
雅紀に話し掛けられて、自分が軽く飛んでいた事に気付かされた
「あ、…いや、何でもない」
「ふーん…」
何か言いたげな雅紀を横目に、テーブルにコーヒーを運び
改めて対面に座り直した
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