TIME is MONEY
第7章 scene Ⅶ
「ど…したんだよ、やけに早いじゃん」
何でこのタイミングで雅紀が帰ってくるんだよ
「え、何で?」
首を傾げた雅紀は “あ、俺にもちょうだい“ とコーヒーメーカーに視線を向けた
「え、あ、…ああ」
動揺を隠すように雅紀から顔を背け、立ち上がって自分の分と一緒にカップにそれを移す
“ありがと“ と座った雅紀はいつもと変わらない
だけど何かが違う
違和感がある
「…帰り、夕方じゃなかったっけ?」
「早く終わったんだよ。…そんなの良くあるじゃん、何でそんなに驚いてんの」
言われて見れば、確かに雅紀の言うとおりだ
一緒に動いてた時にもそんなのはしょっちゅうあった
「そっか、そうだよな」
とは返したものの、心臓がバクバクしてしまう
雅紀の顔を見る事が出来ない
「すっごい動揺してんだけど」
「してな…」
「ああ、翔ちゃんでも呼んだから?」
「え…っ!」
その言葉に思わず雅紀を見ると、平然とコーヒーを飲む姿が目に映った
テーブルにカップを置いた雅紀が目を合わせてにこっと笑う
「パソコン見たんでしょ?」
普段聞く分には何気ない一言
現に俺達が仕事の上で依頼のメールを見る事があるんだから
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