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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

『~別に泣かしといてもいいけど?』


仲間にそう言いつつ
セイゴがケータイのカメラを私に向けていた


自分でも知らぬ間に涙が溢れかえっていて
視界が曇ってきていた


「万一誰か来たらヤベーだろ?」

『いや、来ないからマジで♪ここ
~泣いてんのもコーフンするぜ?』

「う~わ、セイゴお前マジ鬼畜~;
引くんだけど~
あ~ぁ…カワイイ顔
ぐっちゃぐちゃだぜコイツ?」


仲間との言い合い
ヘラヘラと笑い声が上がるさなか

カシャリ……カシャリ…と

シャッター音がする



人前で晒さない……誰にも晒さない
あられもない姿の私を

セイゴが写真におさめていた


『っっ!?んっ…うぅっ…んんっ…~~』


夢中で首を振って拒否する


『あ~…別に気にしないで?
一応撮ってるだけだから~
フフっ…アイル?
このことは誰にもナイショだよ?
パパやママに言ったらダメだからネ?
プッ……フフフフっ』

「パパやママって~…ぷっ!ギャハハハ!
てか言えねーだろフツー!?」


『うーっ…う~っ…ッッ!』


『フフっ…アイルがチクらない為に撮っただけ
~あ、だけどもし…誰かに喋ったりしたら…
コレ…み~んなにみてもらうからね?
いいね?アイル…』


ケータイの画面を見せつけられる


脅迫…

ありとあらゆる行為、その手段が
次第に私の抵抗する力を奪っていった


そして…





『…っ!?』
『フフ…初めて見た?……ホラ…くわえろ』


答える間も、拒否する権限もなく…
顔を反らそうとした瞬間に頭を押さえつけられて
眼前の男性のモノを口に押し込まれた



『んっ…ブっ…ぐぅぅっ…ゲホっ…ォエ』


『噛んだら殺す。…舌動かせ』



苦しい…キモチワルイ


やめて、と言っても届かない

次に私の中に浮かんだのは
先程何度も聞こえてきたセイゴの
〃オマエがワルイ〃
の言葉……


そうだ……私が悪いんだ
私のせいだ…謝ろう
謝って…許してもらおう
一生懸命謝れば許してくれるかもしれない…


無論……そんなことを
冷静に頭で考えていたワケではない

そんなことは到底、私には不可能だった

その時の行動の、深層心理に過ぎないのだけど



『ごめん……なさい…』


震えを抑えるように、力をこめつつ

持てるだけの声を
全力で押し出すように発した

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