
密猟界
第1章 雨の中,傘のなか。
「ユノ、あっちの方…行きましょう」激しい降りが、傘の内までも煙を吹き上げるように、暗く、曇らせる。
石階段の途中、左手の奥、小路が伸び、小さな屋根が重なり合う一処をチャンミンが指差した。
頷くと、ユノは傘の柄を長い指でしっかりと、持ちなおしチャンミンが指差す方へと歩き始める。
ユノの脚を庇ってゆっくり歩くチャンミンの前髪は、シャワーのあとのようにぐっしょり、雨に濡れ、額にはひとすじの金の髪。
奥行きの狭い石段の上を一体の影のように、小路へと足を運ぶ。
小路は、石階段の端のところからはじまっていた。
幅はかなり狭いが、石の上よりも歩きやすい。
小路から見上げると、かなり上の方まで階段は続いており、更に上へと伸びていた。
雨に降り込められて、小路の奥はよく、わからないのだが、やがて濃いピンクの壁の色の、まるでお菓子の家を思わす一軒の家が、傘の雨の雫の間から見えてきた。
「可愛い家だ」「プチケーキみたいです─」激しい降りの雨で、夕暮れのような薄暗さのなか、その愛らしい家の周囲だけは、明るく見えていた。
二人は顔を合わせて微笑みあう。
石階段の途中、左手の奥、小路が伸び、小さな屋根が重なり合う一処をチャンミンが指差した。
頷くと、ユノは傘の柄を長い指でしっかりと、持ちなおしチャンミンが指差す方へと歩き始める。
ユノの脚を庇ってゆっくり歩くチャンミンの前髪は、シャワーのあとのようにぐっしょり、雨に濡れ、額にはひとすじの金の髪。
奥行きの狭い石段の上を一体の影のように、小路へと足を運ぶ。
小路は、石階段の端のところからはじまっていた。
幅はかなり狭いが、石の上よりも歩きやすい。
小路から見上げると、かなり上の方まで階段は続いており、更に上へと伸びていた。
雨に降り込められて、小路の奥はよく、わからないのだが、やがて濃いピンクの壁の色の、まるでお菓子の家を思わす一軒の家が、傘の雨の雫の間から見えてきた。
「可愛い家だ」「プチケーキみたいです─」激しい降りの雨で、夕暮れのような薄暗さのなか、その愛らしい家の周囲だけは、明るく見えていた。
二人は顔を合わせて微笑みあう。
