
密猟界
第4章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)
仕切り代わりのパネルを、チャンミンはドアの前に置いた。ユノは照れてうつむいた。
「こっちの部屋─ここも─妙なんです」チャンミンがユノを、呼ぶと、「なに…?」前髪をかきあげながら、ユノはチャンミンのそばに、歩み寄る…。
「ほら。凄いでしょ? …」天井までの鏡が刃のようにギラつき、その前には化粧品の瓶が、ぎっしり並ぶメイク・ルーム。
二人が肩を触れ合わせている姿が、鏡のなかにある。
シャンデリアが鏡に反射して、眩しい室内…ユノが鏡に近寄り、化粧瓶のひとつを手に取る。全てまだ使われていない、新品の男性化粧品だった。「厚化粧の男もいるもんだ」「ユノは化粧品のモデル、やってましたからね…皮膚、奇麗─」ユノの頬にかたちの良い人差し指をチャンミンは伸ばし、触れる。
後ろに下がったユノが、腰をメイク台に押し付ける姿になり、鏡に背を向けた。チャンミンは黙って両手で、ユノの頬を包むように、した。チャンミンが顔を近づけると、顔を横向きにしたユノが、不意に身体を折った。「…どうしたんです? ……」力を無くした大柄なユノのからだを、抱きかかえ、支えてやりながらも、チャンミンの声はむずかる子どもを優しくあやすように、微かな笑いを含んで、いた。
「こっちの部屋─ここも─妙なんです」チャンミンがユノを、呼ぶと、「なに…?」前髪をかきあげながら、ユノはチャンミンのそばに、歩み寄る…。
「ほら。凄いでしょ? …」天井までの鏡が刃のようにギラつき、その前には化粧品の瓶が、ぎっしり並ぶメイク・ルーム。
二人が肩を触れ合わせている姿が、鏡のなかにある。
シャンデリアが鏡に反射して、眩しい室内…ユノが鏡に近寄り、化粧瓶のひとつを手に取る。全てまだ使われていない、新品の男性化粧品だった。「厚化粧の男もいるもんだ」「ユノは化粧品のモデル、やってましたからね…皮膚、奇麗─」ユノの頬にかたちの良い人差し指をチャンミンは伸ばし、触れる。
後ろに下がったユノが、腰をメイク台に押し付ける姿になり、鏡に背を向けた。チャンミンは黙って両手で、ユノの頬を包むように、した。チャンミンが顔を近づけると、顔を横向きにしたユノが、不意に身体を折った。「…どうしたんです? ……」力を無くした大柄なユノのからだを、抱きかかえ、支えてやりながらも、チャンミンの声はむずかる子どもを優しくあやすように、微かな笑いを含んで、いた。
