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密猟界

第4章 闇の中の謝肉祭(カーニバル)

 「ありがと─。これも運んでくれたんだ」なかから下着と白のTシャツを出して、身につけようとすると、「ユノ。シャワー浴びてください」「あとにするよ、体…汚れてない」ベッドの背凭れに掛けてあったタオルを手にして、「僕がユノの体拭いたんですよ。砂埃に、まみれてましたからね…」チャンミンがユノのシーツの巻きついた身体の線に沿って、撫ぜるような視線を這わした。
 「だから、髪は洗ったほうがいいんですよ」云いながら、ユノの髪の毛を軽く払う仕草をチャンミンは、した。
 …部屋の片隅から、やわらかな甘い匂いが不意に立ち籠める─。
 「じゃあ…、食事にしましょう」チャンミンはベッドの上のワンピースを、取り上げながら云った。その動きと共に、チャンミンの腕のなかのワンピースから、先ほどの甘い匂いが、微かに部屋のなかを漂った。
 「その服─」ユノが華やかな柄の布地を、目で追いながら口を開きかけると、「─女の子の服ですから…片付けますね」部屋を出て行こうとした。「女の子って」「何です、ユノ? 女の子の服に興味あるんですか」チャンミンはワンピースを、またベッドの上にどさりと投げ出した。


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