 
ある晴れた冬の日に
第3章 約束
俺は昨日出会った女子生徒のことを考えていた。
―――蓮池萌音、だ。
教室で見た瞬間、俺は彼女か!?と驚愕した。
ドクドク騒ぎだす胸に、頭の中はパニックを起こしかけ、それからどう授業をしたのかもよく覚えていない。
もしかして彼女の親戚とか?
蓮池萌音について、もっと知りたい気持ちが湧いてきてたまらない。
ほんとに約束どおり、生まれ変わってきたのか?
俺は確かめずにはいられなかった。
自分だけが知る彼女の感触、ぬくもりを……。
だから俺は蓮池萌音を待ち伏せ、実行してしまった。
そんな事して、上にばれたらクビだとわかっているのに。
ま、そうなってもいいんだが。
俺にはもう、失うものなんてないし。
ただ毎日息をして生きているだけの屍…とまでは言わないが、そんなようなもんだから。
だけど
あの子の存在はどうしても引っかかる。
「…っ」
あぁ、また目頭が熱くなってくる。年だな。
彼女が事故で逝ったのは17才の時。
そして萌音は、萌音は……
彼女、"舞尋"と同じ肌の感触をしていた。
 
 作品トップ
作品トップ 目次
目次 作者トップ
作者トップ レビューを見る
レビューを見る ファンになる
ファンになる 本棚へ入れる
本棚へ入れる 拍手する
拍手する 友達に教える
友達に教える