 
ある晴れた冬の日に
第2章 良の想い
その瞬間。ふわっと先生の腕に包まれる私の身体。
ぎゅっ…
「っ!」
私は初めての感覚に、頭がボーッとしてくる…。
そして温かい、と感じた。
「…ありがとう」
そっと身体が離されると、
私は先生の目をじっと見て聞いた。
「先生はもしかして、私のこと…以前から知ってましたか?」
自分でも分からないけど、そんな言葉が自然と口からこぼれたのだった。
「…いや、知らなかった」
「じゃあどうしてこんなことするんですか?」
「…実は、君がある人にとてもよく似ているから。
どうしてもまた顔が見たくなって、待ち伏せてしまったんだ」
「ある人って…先生の恋人、ですか?」
「…うん、そうだ」
「だけど私はその人じゃありません」
「わかってる。それに…彼女はもうどこにもいない。ずっと前に、
死んだんだ」
「…えっ…」
死んだ……?
そうだったんだ。だからさっき教室で…。
 
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