兄達に抱かれる夜
第1章 お願いっ、嫌なのっ、あたしは……っ
「なんだ、一緒に帰ったんだ?」
ウチの車から康兄様と一緒に降りた所で、声をかけられた。
和(カズ)兄様だ。
艶やかな髪はサラリとした茶髪でおしゃれ、端整で派手な顔立ちをしている。
服装もいつもおしゃれ、モデルのバイトをしているから、スタイルもいい。
ガレージから出て来たから、また、自慢の愛車で出掛けていたんだろう。
和兄様の愛車はほとんどが外車のスポーツカーで、広々とした家のガレージに3台もある。
「たまには一緒に帰るのもいいかと思ってね」
くすり、甘くあたしを見て、答える康兄様。
「お前はドライブか?」
どうせまた、美人のモデルを連れてのドライブなんだろうな?
しょっちゅう女の人を連れて、チャラチャラしてるイメージの和兄様が、最近好きになれない。
学習院大学の経済学部。
チャラチャラしているようで、やはり、昔から成績優秀、勉強している様子は微塵も感じさせない。
「そうそう、ちゃんと乗ってあげなきゃね。
恵麻も今度ドライブに連れて行ってあげるよ?」
あたしの頭を撫でて、そのまま、長い髪をさらりと指で通しながら、傍をすうっと、歩いて行く。
「別にいいです、死にたくないもの」
「俺は安全運転だよ?」
「連れないな」呟いて笑いながら、背中を向ける和兄様。
相変わらずのスタイルの良さに、見惚れてしまう、後ろ姿だった。
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