
スイッチ
第22章 苦くて甘い。
M side
背中が熱い。
相葉ちゃんに投げられて、翔くんに抱き止められた時・・・
心臓が飛び跳ねた。
男とのスキンシップはそんなに好きじゃない。
ましてや仕事でも無いのにわざわざ触れたくはない。
それなのに、全神経が背中に集中して、後ろにいる翔くんを感じようとする。
抱き止めた体勢のまま、当たり前のように話し出す翔くんにも戸惑う。
俺はカズや相葉ちゃんじゃない。
こんな風に翔くんの側にいる事に違和感は無いのか?
いや、こんな事、グダグダ考える程のことじゃ無いハズだ。
・・・カズのせいだ。
急に意味分かんねー事言い出すから・・・
俺が、翔くんを好き?
そりゃキライじゃないよ。
・・・好きだよ。
昔から憧れてた先輩だったんだ。
当然だろ??
俺はもうそれすら否定して強がってたガキじゃない。
素直に尊敬してる事は認める。
それだけだ。
じゃあ、何で、こんなに胸が苦しいんだ?
・・・本気で頭が痛い。
きっとこれ以上考えるなって脳がサイン出してるんだ。
やめよう。
もっと別の事を、仕事の事を考えよう。
俺の頬を涙が流れた気がしたけど。
気付かないフリをした。
