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第25章 焦燥と迷走

秋のおわり

そして冬の足音がきこえてくる



一年なんて早いモンだナァ…なんて
オヤジくせーことを思いながら過ごす



外の気温も日増しに下がり
デートするにも家にこもりがちに?


なんて言うのは口実

寒ささえも利用するように
外を歩けば、いつもよりも寄り添った

相変わらず恥ずかしがるアイルを見て
微笑ましく思いながら


何も変わらない

幸せな毎日




・・・なんだが・・・オレは








仕事帰りにアイルと待ち合わせしていた

今月は祝日が多いとアイルが言う

となると
二人とも休みだから

寒さも気にせず
デートを楽しんでいた

明日は休みだ

今日は二人でゆっくり過ごせるな…なんて

待ち合わせ場所に向かう



駅の前の広場…信号待ち

その先にアイルを見つけた

白いコートに…人形みたいな顔
すぐにわかる

否応なしに…目立つ

そして・・・


『…あ』

オレの視界を遮るように
アイルの前に立つ輩…

ナンパ…?

信号が中々変わらない・・・イラつく


そう…オレ

最近自分でもよくわかんないけど
イラつく事が多い気がしてる

何も…変わってない
幸せにすごしている

何か大きいストレスを抱えてるでもない

仕事も…アイルとの仲も…何も…

むしろ順調に…

何もトラブルも
アイルとケンカもしてない

何でなんだ…?

今目の前にあるような光景だって
別に珍しくも不思議でもない

アイルを待たせないように
待ち合わせは先回りしたりするが

…今日みたいに仕事帰りだと
どうしても待たせてしまうことがある

するとこんな場面に出くわすわけだが…


アイルが男を避けるように
向きを変えたりしてるのが見える

男が…しつこい

イライラして信号が変わるのを待つ




「ねぇねぇ?
そんなシカトしなくてもいいでしょ?
寒いしさ、お茶しようよ♪少しだけ!ね?」

『…』

「オイオイ~そりゃないよ~」


『人・・・待ってるから。どいてください…』

「ずーっとまってんじゃん!?
カレシ?こないって~!ほら行こうよ」

『……ハァ』



カツ カツ カツ


足音を立てて近寄るが気付かない
アイルも…男も



ガシっ…


無言で…しつこい男の肩を掴み

見下ろして睨みつけた

「…あ」

『…』

『…』

男以外…無言

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