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第23章 やさしさで溢れるように

この上無い
手前勝手な事をアイルに要求して

オレは急かすように
もう一度アイルにキスした

『…んっ・・・ふ…』

『・・・』


早く…言えよアイル
たのむから
もうこれ以上アイルの涙を見れない

そんな勝手な事を思いながらオレは…


『んっ…っく・・・んっ…』


アイルからすすり泣く声が漏れはじめる

当然だろうな
こんな事してるんだから


『…オレに…アイルを忘れさせて』


泣いているアイルに構わずにキスする


アイルのすすり泣きが響き渡り


…そして



〃…?〃




唇の…感覚に、手が止まる




〃なんだ…?〃




唇をはなす




『…アイル…?』

『ぅっ…く…っく…ひっく…』



目に涙を浮かべるアイルを見た


…今の…気のせいだろうか?




アイルの頬に触れる

泣いているアイルに、もう一度キスする…



…アイル?



『んっ…っく…ん…く…』


アイルの手や全身に込められた
オレに抵抗する力は…
ただの一度もゆるめていないのに…


触れている唇は…唇だけは


オレを受け入れていた時と
変わらない

以前と同じ…
オレを受け入れているぬくもりだった


そして…それはオレも同じで…








アイルが…オレを
…受け入れている・・・?








『っく…ひっく…リョウキ…
ぅっ…私に…嫌われる為…?

そのためにこんな…
こんなことをした……の?…ひっく…

私に…そんなこと…言わせるため…に?』


『ア…イル?』


〃なんで…こんな…〃



『わかってるくせに……知ってるくせに…』

『え……?』



『~~っく…私が…リョウキに…
そんな事、言うわけないじゃない…

心にもないこと…リョウキに…っ…

そんな事…私が
言えるわけないじゃないっ…』

『……』



『最低…本当に最低だよ。私にそんな事…』

『…』



『…そんな事言うくらいなら…
リョウキの望むように…私を…
こわしてくれればいい…っ…』


『アイル…』


〃そんな…〃


『リョウキの望み通り…
こわしてくれればいい
…リョウキの手で…』

『…ア…イ』






『こわしてよ…っ
私をこわしてよぉっ…
今すぐこわして…っ…こわしてぇ…っっ!!!』



アイルが顔を両手で覆って泣き出した

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