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Best name

第16章 未来へ

『リョウキは色んなことを
いつも頑張ってるから…
疲れがでちゃったんだよ

ゆっくり休みなさい…って
きっと神様が言ってるんだよ…

その手伝いくらい…私にもさせて』



アイルが穏やかな声でオレに言う…
さりげにオレの頭を優しく撫でながら…


『……反則…だっつーの』

『ぇ?…何?…』



『いや…』


『ふふ…大丈夫

リョウキの身体は大きくて
しっかりしてるから…
すぐに元気になるよ

…今日、泊めてね?
ちゃんとムコウにいるし

…ずっといるから
安心してゆっくり…』



『~~ダメだ
…もぅ…帰れって…
早く…暗くなる前に…』


『リョウキ…
~…そう言うと思った』


アイルが微笑んで少しため息をつく

『…?』

『リョウキはやさしいから
でも…体つらい時くらい
自分のことを一番に考えてね?…
も少ししたら帰るから…』


アイルが足早に寝室を出ていくと
数分して両手に
物をいっぱい抱えて戻ってきた

『着替え…横に置くね
それから、お水も
なるべく沢山のんで…』

氷まくらを換えて飲み物や着替えを全て
オレの手の届く所に置いていく

『…それじゃ私、行くね』

『あぁ…気をつけろよ?本当に
…着いたら…連絡くれ…必ず』

『ふふ、大丈夫
おかげ様で自転車で安心・楽チンだから
…メールするね
但し、リョウキが眠ったあとでね』

『~~…』

やれやれ、かなわないな

なんて思ってると

アイルが振り返ってベッドの横に膝をついた

〃…なんだ?アイル…〃

くろ目が…うるっとしてる

『リョウキがかわいそう…
…代わってあげたい』

…こんなコトを、女に
狙って言われようモンなら
興ざめも良いとこだが

アイルの場合は常に〃素〃だから
どうにもならない

時々返す言葉に困ってしまう

『…ハ…ハハ、何…いってんだよ…』

『…治してあげようか。…今すぐ』



『……?』

『人に移すと治るなんて…よく言うでしょ…』


アイルの小さい顔が…そっと近づいてくる

唇が…近い…


『んっ… む…っ…』

『ハァ…バ…バカヤロ…いーかげんに…ハァ…』


咄嗟に手でアイルの口を塞いで止める
…本気で、やりかねないアイルは…

『ふふ…ごめん。じゃ…行くけど
何かあったり辛かったらすぐに電話して?
約束だよ?
夜中でも、いつでもとんでくるから』

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