
ビタミン剤
第25章 a mole tunnel
Tside
「斗真、放せ。」
「…ふぁ…ぁ…んん…んふっ…」
そっと周囲を気にしながらゆっくり頭を上げた。
口のまわりいっぱい
唾液と翔くんの先走りで濡れているのを
なるべく自然な仕草に見えるように
手の甲で拭いながら
車が停止してたことに気がついた。
見覚えのないコンビニの駐車場
あたりに車も人の気配もなく、そっと安堵の
吐息をはく。
「買い物してきてよ。
なんかイケてる飲み物と新聞にタバコ
銘柄は…確かあれとあれ…」
翔くんは時々銘柄の違うタバコを
手にしてることがある。
今夜もいつものと気分が違ってるのかな。
着衣を整えて、バッグから
マスクと帽子メガネを取りだそうとすると
「ダーメだ
そのまま、生田斗真で行け。」
「えっ…でも…」
「尻の中のスイッチも入れてやるよ?
かしこくお使いが出来たらなんでも
おまえの願い、なんでも叶えてやるから。」
翔くんの微笑みは優しくて
残酷でどこまでも惹きつける力がある。
