
ビタミン剤
第14章 day off
つれない態度で相手してもらえず、
ソファで不貞腐れながら新聞を読むことにした。
別にニノがどうのこうじゃなくて甥っ子の世話を健気に頑張ってくれてるのに自分の余裕の無い気持ちの狭さに対して釈然としない。
「はーいごちそうさま、海くんおなかいっぱいですよぉ。翔ちゃん、俺ちょっと片付けるから相手してあげてね。」
「…お、おうっ」
海は満腹で満足そうな笑顔なのに、俺はこんなに腹ぺこ状態。
お前のせいでニノの鍋焼きうどんを食べそこなってんだぞ、やい男として責任取りやがれっ!
なぁんて凄んで言ってみても、相手はまだ1歳にも満たない赤ん坊。
無邪気な顔でうれしいそうに笑ってやがる。
「あーい、ンば、んば」
こいつめぇ、俺の新聞をバシバシしてきやがって、超ご機嫌じゃないか!俺はこんなに機嫌が悪いってのにっ
ハイハイから、つかまり立ちをしてくる。
まじまじと見るとおでこから目のあたりはマジで自分でもよく似てるって思えてしまう。
櫻井家の遺伝子を強烈に感じながらしばらく海の相手していると
「はい、どーぞ召し上がれ。」
ニノが小皿に持ってきてくれたのは小ぶりのおにぎり5つ。その1つを半分にして俺の口にそっと食べさせてくれる。
塩加減も絶妙なニノのおにぎりはマジで美味いっ!
「うんめぇ!マジうんめぇ!」
「ったく翔ちゃんは海くんより手がかかるんだもん
うどんは冷めたからおにぎりで我慢してね。」
え?これってさっき見た光景、
ニノが海に向かって優しく微笑みながら食べさせてあげてたみたいな
「はい、あーんして海苔巻いてるからね。」
あーん
アーぁアーぁアーぁ
海も俺の膝の上に乗っかってきて口をあむあむと開けてきやがる。
こいつめ、また俺らの中を邪魔しやがって!
