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sugar-holic2

第7章 深まる疑惑《倉田side》

「お前みたく巧くやれば文句も言われないか」

「巧くって?」

「史華ちゃん」

富永がどういう意味でその名前を出したのか、すぐに分かった。

「新藤は扱いきれなくて…結局会社辞めるまでになったのに」

新藤ってのは俺らの同期で。

俺が史華と別れた後に史華と付き合った男だ。

「それは俺のせいじゃないだろ」

「そりゃあそうさ。ただあいつが史華ちゃんのお望みにかなわなかっただけだ」

口元を歪めて、肘をついた手のひらを俺に向けると

「もっと言えば、お前越え出来なかったってだけだろ」

人差し指で俺を指すと、くいっと指を上に引き上げてみせた。

「そこを目指されてもな」

首を振って、ため息と共に考えを押しやった。

「そういや、史華、結婚するぜ」

「はぁ!?誰と!?」

「歯医者のセンセイだと」

富永は一瞬口をつぐむと、

「はぁー、そっちか」

そう呟いて、何度も頷いた。

「やっぱ新藤じゃ無理か」

「だな」

史華は『史華』だからな。

誰かに合わせるとか…そういうオンナじゃない。

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