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影に抱かれて

第17章 影に抱かれて

二人にあるのは、お互いへの愛だけだと思える。
そのことにおいては、恐ろしいほど純粋だと……何の迷いも曇りもないと感じているのに。

そもそも、愛に善も悪もないのではないか……

これまでも神と、ジュールへの愛との間で悩み続けて来た。

そしてこれからも、神から目を逸らしながら……ジュールの側に居続けられればいいなどと心のどこかで考えていたのかもしれない。

けれど、今初めてはっきりとどちらか選ぶようにと……神から答えを迫られているのだ。

愛を選ぶべきか、それとも他の何かを選んで生きるのか……
もしかしたら自分はそのために生まれて来たのかもしれない。

この愛が許されないものであることは、今までだって分かっていた。
ましてやジュールは兄なのだ。

答えはもう、考えなくても決まっているようなものだろう。

誰がどう見ても、ジャンの言うことが正しい。ジャンに従うほかはない……頭ではそう分かっているが、張り裂けそうなこの胸の痛みをどうしたらいいのかリュヌにはやはり分からなかった。

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