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第22章 報告

「ふたりとも責任を持てるのなら何をしても構わないけれど、きちんとしなさいね?」

ママが言ったこと…それが何を意味しているのかあたしにも分かった。

「それは…まだ早いかも知れません。」

パパが慌てて口を挟んだ。そしてママを窘めるように睨んだので、ダディがクスッと笑った。

「僕は…僕は…高校を卒業してお互いが大学に入るまでは…あの…健全な…お付き合いを…と思っています。」

真啓の顔は一気に赤くなり、たどたどしく答えながら俯いた。

…えっ。そうなの?

「真啓さんは本当に真面目なのね。私が“もっと羽目を外しなさい”ってけしかけなきゃいけないのね?」

ママがケラケラと声を出して笑った。

「トーコさんっ。笑い事ではありませんよ。とても大切な事ですっ。」

パパがムキになって言った。

「私の周りには羽目を外し過ぎる人ばかりだから、初々しくて、とっても新鮮ね。」

…パパのことだ。

今度はダディが噴き出した。

「またあなたまで…。」

ダディは本気で怒っていたけれど、ママもダディもこうなると暫くは笑いが止まらない。パパの性格は真啓の方があたしよりも良く知っている気がする。だから、ここできちんと宣言したことは良かった…と思う。

真啓は深呼吸をして話題を変えた。

「それから、大学に入学したらすぐに、1年間休学をしてピアノの勉強の為にウィーンへ留学しようと思っています。」

「そうだったんですね。」

パパは少し驚いた顔をしてあたしの様子を伺った。

「ええ…つい最近決まりました。大きな大会で優勝すれば、無料で留学もありますけれど、優勝できなくても僕は行くつもりです。」

…やっぱり留学しちゃうんだ。

「そうですか…あなたが居ないと少し寂しくなりますね。」

パパはとても寂しそうで、それはまるでパパが真啓の恋人のように見えるほどだった。

「はい…でも頑張って音楽の勉強をしてこようと思っています。」

「僕たちはいつも、あなたのことを応援していますよ。」

真啓はありがとうございますと言うと、静かに熱いお茶を飲んだ。

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