 
パパ、もう一度抱きしめて
第7章 そして、運命の再会
遼太郎さんはこんなことを言う私を、どう思っただろう。
いくら何でも、返答に困るよね…。
私は視線を合わせられずにいた。
すると「梓ちゃん」と呼ばれ、ビクッとして顔を上げた。
遼太郎さんは思いがけず、笑顔だった。
「君のパパは、幸せ者だなぁ」
「えっ」
「だってこんなに娘から愛してもらえて、
サイコーじゃん。俺は今の素直な気持ちのまま、パパを好きでいればいいと思うけどね」
「ほんとに、今のままでいいんでしょうか?」
「うん。こんな答えしかできなくてごめんね。だけど、これだけは言える」
「…?」
「自分に自信を持つ事だよ。梓ちゃんはとっても純粋で素敵な子だから、きっと幸せになれる」
ピピピ…
その時、遼太郎さんの携帯が鳴った。
「はい…えっ!?
わかりました、すぐ行きますっ」
どうやら彼に、急患の呼び出しがあったようだ。
「梓ちゃん悪いね。もう行かなきゃならなくなった」
「私のことならお構いなく。どうぞ行って下さいね」
「ありがとう。今日は会えて良かった。それじゃあ」
私は頭を下げ、
遼太郎さんは白衣を翻し、長い廊下を駆け抜けて行った。
 
 作品トップ
作品トップ 目次
目次 作者トップ
作者トップ レビューを見る
レビューを見る ファンになる
ファンになる 本棚へ入れる
本棚へ入れる 拍手する
拍手する 友達に教える
友達に教える