 
パパ、もう一度抱きしめて
第1章 プロローグ
私がまだ四、五才ぐらいの時。
日曜日の朝は、パパがまだ布団の中で寝ていて。
私は嬉しくてその横にもぐりこんでゆくのだった。
「お、梓か。早いなー」
私はこっちに体を向けたパパの胸に無邪気に抱きつく。
すると、パパからは香ばしい匂いがした。
パパも私の体をギュッとしてくれて、そのまままた私は安心して眠っちゃうこともあったっけ。
パパはいつも仕事が忙しく、家に帰ってくるのが遅いから、なかなか会えなくて寂しかった。
だからお休みの日は、お馬さんごっこやパパの足を鉄棒代わりにして遊んでもらった。
私は普通にパパが大好きな子に育った。
でも、いつからだろう。
その気持ちが特別な想いに変わっていったのは……。
 
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