
大切な人へ
第12章 文化祭
「1つください」
その声に顔を上げる!先生だ!
『副担なんですから中でどうぞ』
中から他の女の子達もどうぞ!って
言って先生を連れていった
ブースの中でかん高い声が響く
「先生って彼女いないの?」
「え?実はいい体?
白衣着てるからわかんなかった!」
「本当だ~‼」
…… 。
気になる…
接客してるけど耳は後ろの会話に
気をとられっぱなし
「先生って実はかっこいいね」
…やだ
「疲れた?」
隣から少し心配そうな声がした
『うん…ちょっと疲れたかな』
「おい!店番交代!」
先生と話していた子の中から
2人が来て交代してくれた
でも先生はまだ女子の輪の中
井川くんは投票に他の人と行って
参加者の投票権のない私は
ブースの少し後ろで休憩中
「美優ちゃん?」
見上げると3年生っぽい男の人が
4人もいてびっくりした
『はい…そうです』
「写真より可愛いじゃん!」
「俺ら美優ちゃんに入れたよ」
「彼氏とかいんの?」
…こわい
一気にみんなで話しかけられて
どうしたらいいかわからない
「はいストップ」
穏やかな声が彼らをとめた
「こわがってるでしょ?
もういい加減にしとけって」
先生は優しい口調でそう言って
4人はごめんねって帰っていった
