大切な人へ
第9章 伝えたい
ー先生sideー
科学室のドアを開けると彼女はもう座っていた
向かいに座るといつもと様子が違う...
胸騒ぎがする
『今日は勉強を見てほしかったんじゃない』
ドクンッと大きく鼓動がした
待ってくれ...口に出さないで...
小さな声だったがはっきり聞こえた
俺を見つめて好きだと言った...
彼女の告白は今の気持ちがストレートに
伝わるものだった...
自分と俺の立場のことも葛藤も
『近くにいてほしい』
これが今望める最高の願いだと解っている
俺はその健気さに言葉がでなかった
彼女の気持ちに気付いてから
ずっと出ていた答えを言えなかったんだ
黙り込む俺を残して彼女は行ってしまった
でも追いかけてかける言葉も決まっていない
俺はその場所に残った
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