
大切な人へ
第59章 私のしたいこと
もうすぐ2年の前期が始まる
春休み最後の野球の試合で井川くんが投げる
1軍で初めて投げる彼をちゃんと見たくて
早めにその場所に行ったら...
『翔ちゃんユニホームは?』
私服の彼に会いました 対戦校なんでしょ?
「故障中なんだ...練習と別にね 笑」
彼は少しだけ足を引きずってた
普通に走ってて転んじゃってひねったらしい
『びっくりさせないでよ 笑
もう野球できないとか言うのかと思った!』
「ないない!っていうか一緒に見ようよ
井川くんの応援に来たんでしょ?」
翔ちゃんにはまだ言ってなかったね
別れたんだって言ったらびっくりされた
理由もちょっと聞かれたけど
うまくいかなかったって言ったらそっかって...
『でも今はただのファンだから!
静かに見てくれるなら一緒に見よ?』
彼に知られたくないってわかってくれたみたい
「だからそんな格好してるんだ?
近くにくるまでわかんなかった 笑」
『...隠れファンですから』
髪をまとめて帽子に入れてメガネをしてるのに
翔ちゃんは割と早く気付いてた...
私たちは目立たない坂のところに座って
見ることにした
翔ちゃんも無事大学に合格して
野球を続けてるけどやっぱり井川くんはすごいらしい
「多分すごい努力してると思うよ」
『うん...頑張ってるんだろうね』
