
大切な人へ
第55章 家族だから
晄人さんに話して以降 なかなか休みも無かったから
家庭教師の日の 千香ちゃんの部活が終わるまでの時間
彼に会いに行くことにしたの
休憩時間に少しでも話せたらいいけど...
久しぶりに来たグラウンドは 1つ季節を超えていて
吹く風は肌寒く感じる様になっていた
彼は今2軍のメインのピッチャーをしている
1年でそのポジションはすごいことなんだって
渉くん教えてくれたよ
他の部員の人に挨拶をしても 不自然な対応だった
そうだよね...ごめんね来ちゃって
少し離れてフェンス越しに見た彼は
真剣な表情で頑張っていた
ずっと試合でしか見ていなかった彼の
笑顔を久しぶりに見た...
そんな彼を見ていると
女の人の声がした...私の知っている声だった
「何しに来たの?今更...」
それは井川くんとキスしていた人
2年の真樹さんだった
綺麗だけど今日はすごくこわい...
「別れてよく来れたね」
『ごめんなさい...井川くんに話しが...』
「会ってほしくない!帰って」
彼女は腕を組んで続けた
「あんた...慎也の事どう思ってたの?
メンタルボロボロで見てられなかった」
え...?
