
大切な人へ
第5章 終業式
「藍野さんコーヒー飲める?」
『…はい』
急な質問に驚いたが、チラッと音の方を見ると
彼がインスタントコーヒーを入れていた
どうしよう…
話すの?わたし…
それをテーブルにどうぞ と置いてくれる
『すみません…いただきます』
先生も横でコーヒーを飲んでいる
なんか変な感じ…
暖かいコーヒーに気持ちが落ち着く
「話したくないことは言わなくていいから…」
彼がカップを見つめて話し出す
「俺にできることある?」
『え…?』
「藍野さんいつも笑ってるから
正直どうしたらいいかわからない 笑」
経験不足でごめんって笑ってくれる
飾らず素直にそう言ってくれるのが嬉しかった
『今ひどい顔してますか?』
「うん」
ひどいっていいながら2人で笑う
「可愛い顔が台無し」
『…調子に乗るからやめてください』
今言われてもね
