
大切な人へ
第37章 強くなりたい
「どうしたの?藍野さんため息ついて」
はや上がりの人達が帰っていくと憂鬱…
バイト先の人たちには…言えなかった
こんな話ししたくなかった
それをわかってるように彼は私に微笑んだりする
「藍野さん」
『…何?閉めるからこっちきて』
閉店作業が終わって彼に呼ばれた
でも立ち止まりたくなくて歩きながら返事した
こわいけどそれを見せたら隙になる
セキュリティの鍵をかける手が震える…
「藍野さん手震えてますよ?
…俺がこわいんですか?」
真後ろからの声に恐怖で声が出なかった
歯を食い縛って
両手で鍵を閉めて私は走った 井川くんの元へ
_______‼
「待って!…話し終わってないでしょ?
俺諦めるって言ってないですよね?」
店の外壁に押さえつけられて
目の前に彼の顔があった…
彼は華奢で身長も私より少し高いくらい
なのに… すごい力…
「好きなんです…この顔が」
『私は嫌い…あなたなんか嫌い!』
必死でにらんだ
「そんな顔しても意味ないよ」
彼は一瞬笑った…気がした
でもその顔が
見えないくらい近くて
唇をふさいだ
やだ…
気持ち悪い…
